飲食店の経験があり、最終的には独立・開業を目標に掲げている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。しかし2024年版「小規模企業白書」によると、「宿泊業、飲食サービス業」の廃業率が最も高く、決して平坦な道のりではありません。
ただ、これは誰もが失敗するということではなく、しっかりと時間をかけて準備し、必要なお金を用意して、計画的に進めていけば、成功できる可能性は十分にあります。この記事では、飲食店を開業するために必要な準備や、成功のためのポイントをわかりやすく説明していきます。
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開業まで最低12ヶ月の準備期間を確保する
飲食店の開業は、綿密な準備と計画が必要な大きな挑戦です。最低でも12ヶ月の準備期間を設けることで、慌てることなく着実に準備を進めることができます。
開業準備の期間は、主に以下の3つのフェーズに分かれます。
第1フェーズ(開業準備開始から6ヶ月)
この期間にやるべきことは以下の3つです。
- コンセプト設計
- 事業計画書の作成
- 物件探し
飲食店の開業準備では、最初にコンセプトを具体的に決めることが不可欠です。詳しくは後述しますが、コンセプトが曖昧だと、メニューや価格設定、内装デザインに迷いが生じるリスクがあります。競争力のある店舗を作るために、コンセプトは徹底的に検討しましょう。
コンセプトが決まったら、事業計画書を作成します。事業計画書には、以下のような情報を盛り込みます。
・ コンセプトの詳細
・ 事業内容と運営方法
・ 経営戦略
・ 資金計画(収支の見込みなど)
この書類は、金融機関からの融資や法人の口座開設の際に提出を求められるため、しっかりと作り込む必要があります。
また、飲食店の立地は、集客や売上に直結する重要な要素です。物件選定の際は、以下のポイントをチェックしましょう。
・ ターゲット層に合ったエリアか
・ 賃料と売上のバランスが取れているか
・飲食店として営業可能な物件か
第2フェーズ(6〜10ヶ月目)
この期間にやるべきことは2つ。
- 物件の契約内外工事
- 厨房設備の準備
施工会社を選ぶ際には、物件の内見時に同行してもらうことがおすすめです。希望の工事が可能かどうかを事前に確認できます。
店舗の外観は、集客の鍵です。コンセプトに合ったデザインを選び、イメージに近い店舗の写真などを準備して施工会社と共有しましょう。
また、厨房の設計も重要です。使い勝手の良い動線を意識し、必要な設備を整えます。
第3フェーズ(10〜12ヶ月目)
この期間にやるべきことは4つあります。
- 仕入れ業者の契約
- 従業員の採用
- 備品準備
- 開業手続き・事務手続き
仕入れ業者は、食材の質・価格・配送の柔軟性を考慮して選定しましょう。
スタッフの教育は、接客マナーやオペレーションの習得に十分な時間が必要です。オープン前に研修を行うため、開業の1ヶ月前を目安に採用活動を開始しましょう。
また、飲食店の開業には、営業許可や各種届出が必須です。詳しくは後述しますが、必要な資格・届出をしっかり確認して漏れがないようにします。
飲食店の開業準備は、多くの作業を計画的に進めることが成功の鍵です。コンセプト設計から物件探し、内装、集客戦略まで、1つ1つを確実に進めることで、スムーズな開業が可能になります。
開業準備のフェーズごとに必要な資金の目安
飲食店の開業には、想像以上の資金が必要となります。日本政策金融公庫の調査 によると、飲食店の平均的な開業資金は1000万円前後とされています。この金額は決して大げさなものではなく、むしろ最低限必要な資金と考えるべきでしょう。
前述した、開業準備期間の3つのフェーズそれぞれで必要な資金を説明します。
第1フェーズ(開業準備開始から6ヶ月)
事業計画・コンセプト策定にかかる費用:50〜200万円
┗市場調査・事業計画作成費用:5〜10万円
┗飲食店コンサルタント費用(必要に応じて):10〜50万円
┗仮契約・物件調査費:10〜50万円
┗資格取得・届出:5〜20万円
┗試作・メニュー開発費用:10〜50万円
┗物件探し:0円~
この期間では、どのような料理を提供し、どんな客層をターゲットにするのかを明確にし、事業計画をしっかり立てることが重要です。計画が甘いと開業後の経営に支障が出るため、慎重に進めましょう。
第2フェーズ(6〜10ヶ月目)
物件取得・内装工事・設備導入にかかる費用:700〜1100万円
┗物件契約費(敷金・礼金・保証金など):200〜300万円
┗内装工事費:300〜500万円
┗厨房設備・家具・備品購入費:200〜300万円
この期間では、物件の選定と契約を行い、内外装の工事や厨房設備の導入を進めます。物件探しには時間がかかることが多く、理想の立地を見つけるためにはじっくり検討することが大切です。特に、工事期間中は予期せぬトラブルが発生する可能性があるため、スケジュールには余裕を持たせましょう。
第3フェーズ(10〜12ヶ月目)
開業準備(人材確保・仕入れ・運転資金):200〜500万円
┗スタッフ採用・教育費:50〜100万円
┗食材・ドリンクの初期仕入れ費(50〜100万円)
┗販促・広告宣伝費(30〜80万円)
┗開業後の運転資金(3ヶ月分)(100〜200万円)
このフェーズでは、営業に向けた最終準備を行います。仕入れ先の確保やスタッフの採用・教育、各種許認可の取得が重要です。特にスタッフの教育には十分な時間をかけ、オペレーションを徹底することが成功の鍵となります。また、開業当初は予期せぬ支出があったり、売上が安定するまで時間がかかったりするため、3ヶ月分の売上を運転資金として用意することが重要です。
これらの費用は、店舗の規模や立地、コンセプトによって大きく変動します。例えば、都心の一等地で高級店を開業する場合は、2000万円以上の資金が必要になることも珍しくありません。逆に、居抜き物件を活用したり、小規模な店舗から始めたりすることで、ある程度コストを抑えることも可能です。
資金調達の方法としては、自己資金の他に、日本政策金融公庫の新創業融資制度や民間金融機関からの融資、クラウドファンディングなど、様々な選択肢があります。特に、日本政策金融公庫の融資は、創業者向けの優遇制度があり、比較的低金利で借入れができる点が魅力です。
開業前に必ず押さえるべき3つのポイント
コンセプトを明確に設計
飲食店の成功を左右する最も重要な要素の一つが、明確なコンセプト設計です。コンセプトとは単なる料理のジャンルや価格帯を決めることではなく、お店の存在意義や独自の価値提案を明確にすることです。
まず、ターゲットとする客層の生活習慣や価値観、ニーズを深く理解することから始めます。例えば、オフィス街でランチ営業をメインとする場合、「コストパフォーマンスが高い食事をスピーディーに提供する」というコンセプトが求められるでしょう。一方、ロードサイドで家族向けの店舗を展開する場合は、「くつろげる空間で安心・安全な料理を楽しめる」といったコンセプトが適切かもしれません。
なお、コンセプトについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
物件選びは開業資金調達の前に行う
物件選びは、開業資金の調達よりも先に行うべき重要なステップです。なぜなら、物件の立地や条件によって必要な資金額が大きく変わってくるからです。また、事業計画書作成の際にも、具体的な物件情報が必要となります。
物件を選ぶ際は、商圏分析や競合店調査を徹底的に行います。人通りや競合店の状況、近隣の開発計画なども含めて総合的に判断することが重要です。また、居抜き物件か新規物件かの選択も、開業資金に大きく影響します。
なお、物件選びについては以下の記事でも詳しく解説しております。
必要な許認可は余裕をもって取得する
飲食店の開業には様々な許認可が必要です。特に重要なのが「飲食店営業許可」で、申請から許可証の交付までは通常2〜3週間ほどかかります。ただし、書類の不備や検査で修正が必要な場合はさらに時間を要することもあるので注意が必要です。許可を得るためには、保健所の定める基準に適合した設備を整える必要があり、申請から許可までに時間がかかることを考慮しなければなりません。
また、「食品衛生責任者」と「防火管理者(店舗の収容人数が30人以上の場合)」の2つ資格は必須であり、アルコールを提供する場合は酒類販売免許、深夜営業を行う場合は深夜営業許可など、店舗の営業形態に応じて追加の許認可を取得する必要があります。これらの手続きは並行して進められますが、一つでも遅れると開業時期に影響を与える可能性があるため、計画的に進めるようにしましょう。
営業許可証や資格については以下の記事でも詳しく解説しております。
開業時によくある失敗とその対策
開業時の失敗で最も多いのが資金繰りの問題です。開業資金は確保できても、売上が安定するまでの運転資金が不足し、経営が行き詰まるケースが少なくありません。これを防ぐためには、最低でも数か月分の運転資金を確保し、売上が予想を下回った場合のシミュレーションも行っておく必要があります。
次に多いのが備品の調達に関する失敗です。必要な備品を開業直前になって慌てて揃えたり、品質や価格の比較検討が不十分なまま購入したりすることで、予算オーバーや使い勝手の悪さに悩まされることがあります。これを避けるため、早い段階から必要な備品のリストを作成し、計画的に調達を進めることが重要です。
仕入れ先の確保も重要な課題です。信頼できる仕入れ先を確保できないと、食材の品質や納期に問題が生じ、お店の評判に直結します。開業前から複数の仕入れ先と良好な関係を築き、緊急時のバックアップ体制も整えておくことが賢明です。
仕入れに関しては以下の記事でも詳しく解説しております。
まとめ
飲食店の開業は、綿密な準備と十分な資金、そして明確なビジョンが必要な大きな挑戦です。12ヶ月という準備期間と1000万円という資金は、決して過大な数字ではなく、むしろ成功への最低限の投資と考えるべきでしょう。コンセプトの設計から物件選び、許認可の取得まで、一つ一つのステップを確実に進めることで、開業後の安定した経営への道が開かれます。
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